臨海学校について

昭和39年一水会より独立した時より受け継がれてきた臨海学校指導のノウハウは、岩井海岸という特性を生かし年を追うごとに洗練されており、他に類を見ない水泳指導団体に成長しました。臨海学校の一期間の流れをご紹介します。
 出迎え


JR内房線岩井駅まで生徒を出迎えに行きます。
既に臨海学校は始まっているぞという意識にさせるため、厳しい態度で接します。
生徒たちの印象は、始めはとても怖い人たちというのが圧倒的に多いです。


 開校式


「民宿もんべえ」に到着してから一休みする間もなく開校式を行います。


 臨海学校諸注意


どんなスポーツでもそうですが、ルールを守って行動しないと思わぬ事故に遭う可能性があります。「海」という自然を相手に活動する私たちにとっても非常に大切な約束事です。
  • 臨海学校は家族や友達と行く海水浴と違って、学校の授業の一環として行われるものです。ですから、諸君も気持ちを引き締めて取り組むように。
  • 海では瑞穗会師範部屋の言うことを良く聞く事
  • 特におぼれたふりをしたり、「助けてくれ」と叫ぶなどのふざけた行動をとらないこと。
  • 水の中では皮膚が柔らかくなり、切れやすくなるため、爪はちゃんと切っておくように。耳あかもとっておくこと。
  • 勝手に沖に出たりしないように。帰りは行きの2倍の体力を使うので大変危険です。
  • 宿舎に帰ったら、十分休息をとり、夜は早く寝ること。
  • 髪の長い生徒、特に女子は海に入る前にしっかり束ねて邪魔にならないようにしておくこと。ポニーテールはしないようにして下さい。
  • 体操の時には大きな声を出し、きびきびと行動すること。

解かりましたか!


 帽子の説明


本臨海学校では級別・班別指導を採用しています。「五級乙」から「特別級」までの七段階です。
どんなに泳力のある人でも、最初は「五級乙」からのスタートし、それぞれの進級試験に合格したものが上級に進めます。
五乙 五甲 四級 三級
この級からスタート 樽廻り試験に合格
(約100メートル)
沖廻り試験に合格
(45分間で約800メートル)
神伝流 游ぎ方真 游ぎ方草
拷伸 水中はがい伸
 翡翠 の試験に合格

二級 一級 特別級
三級の試験に加え、
諸手伸 片手抜
の試験に合格
二級の試験に加え、
三段伸
の試験に合格
一級の試験に加え、
二段伸 諸手抜
の試験に合格



 班編成


事前の泳力調査を基に、一班を10人ないし15人程度でレベル分けを行います、
名前を呼んだ時に大きな声で返事をしないと何度でもやり直しをさせます。
後々の水泳指導に繋がる布石となります。


 開場式


まず海で指導を開始する前に、臨海学校中の安全祈願を行います。
塩で海を清め、米をお供えし、海の神様と杯を交わします。


 安全の確保

水泳指導を行う大前提として安全を確保する事が重要であり、条件が満たされて初めて指導開始となります。。
  • 環境確認−指導毎に引率責任者へ環境報告を行い、実施可否を都度検討します。
  • 出欠確認−指導開始前・終了時、生徒一人一人の健康状態をチェック意味も含め出欠確認を取り、陸上勤務者へ報告を行い総体の把握をします。


 指導について


臨海学校でメインとなる水泳指導も、セオリーを守りつつ瑞穂会独自の方法で安全且つ効果的な指導を行っています。
  • 体操−岩井海岸の名物(?)となっているほどで、大きな声を出す事を目的に行っているようなもので、やり過ぎでは・・・と思える時もあるほど。しかし、海で指導をするには常に安全確認が必要となり、そのためにも大きな声で返事をする事が重要となります。
  • 後入れ先出し−海に入水する時のセオリーです。指導員が先に海に入って安全を確認し、海から上がる時には一番最後に安全を確認しながら上がります。
  • −監視の役割と、指導時の補助具の役割の両方を備えており、臨海学校が全盛の頃は何基もの櫓が海の中に立っていました。
  • バディーシステム−ダイビングなどでも取り入れられているシステムで、二人ずつのペアを組みこれを基本に行動します。「バディー!」という掛け声により、ペアの人と手を繋ぎ相手の健康状態の確認・全体人数の把握など互が一度に行える合理的なシステムです。
  • 水慣れ−入水の際には必ず水慣れをしましょう。突然泳ぎ始めるととんでもない事になる場合もあります。心臓に遠い所から水に浸し、徐々に入水していく事が鉄則です。伏し浮き・背浮き・クラゲ浮き等の浮き身も重要です。
  • 指導−平泳ぎを中心に指導しますが、タイムを縮める為の競泳指導ではなく、自己保全と身体の鍛錬を主に指導しているのでスピードは求めず、他の人と同じペースで泳ぐことを目標にします。


 遠泳


指導成果の集大成として3日目に遠泳を行います。御喋りはもちろんの事掛け声も無く、式舟からの指示だけで粛々と泳ぎます。
遠泳は、チーフが指導の中で見極めを行い、選抜されます。
前日の夜に遠泳体系の発表を「民宿もんべえ」にて行います。
泳ぐ距離は2.5Km、時間にして約2時間です。


 進級試験


四級生になると平泳ぎではなく、神伝流の水練を始めます。
上級を目指し水練を重ね、進級試験に臨みます。師範他二名の試験官が受験者の游ぎを採点します。
個々の泳ぎについては、講評を行い上達に向けてアドバイスします。


 レクリエーション


最後の晩はお楽しみ会に参加します。その年その年創意工夫して寸劇や一瞬芸を披露します。
シメは代々歌い継がれてきた、「狭霧」・「海は恋してる」等を熱唱して終わります。


 閉場式



臨海学校が無事終了した事を海の神様に報告する式泳の後、模範泳法を行って閉場となります。
その後、時間の許す限り各班で遊びます。指導員を砂に埋めて厳しい練習への仕返しをするのが生徒達の楽しみの一つのようです。


 閉校式



最後の練習を終え、程なくして閉校式を行います。
進級者・遠泳修了者の賞状授与の後、全体の講評を師範が行います。
「別れの歌」を歌う時、指導中の思い出が走馬灯のように甦り、思わず涙する者も少なくありません。
この時ほど、瑞穂会員でよかったと思える時は無いでしょう。


 見送り



岩井の駅で最後の時間を惜しみます。
臨海学校の思い出を語らう者・早くも来年への思いを馳せる者、様々ではありますが指導員・生徒共に清清しい顔をしています。
足早に走り去る特急電車を見送った後、ホームに残された瑞穂会員は叫びます・・・




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